LINE AIは会社で使っていい?個人情報漏洩リスクを解説! | できない解決ナビ

LINE AIは会社で使っていい?個人情報漏洩リスクを解説!

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「部下が『LINEのAIが便利そう』と話しているのを聞き、過去の情報漏洩事件を思い出してヒヤッとした…」。情報システム管理者であるあなたなら、そんな経験があるかもしれません。その懸念は、極めて正当なものです。

多くの情シス担当者が「LINEのAIは禁止すべきか」で悩みますが、問題の本質は少し違います。私の経験上、最も重要なのは「何が、なぜ危険なのか」という根拠を示し、従業員が納得できる明確なルールを作ること。そうすれば、あなたの負担も軽くなるはずです。

この記事の結論を先にお伝えします。LINE AIで個人情報漏洩を防ぐには、技術的な設定だけでは不十分です。最も重要なのは、会社の情報を守るための明確な入力禁止ルール作りです。

この記事では、単なるリスク解説に留まらず、あなたが明日からそのまま使える「社内通達の雛形」まで具体的に提供します。本文の内容は2026年5月時点で確認できる公的機関・LINEヤフー公式情報・LINE関連規約をもとに整理しています。最後まで読めば、情報管理者として何を優先すべきか判断しやすくなるはずです。

CHECK

LINE AI Agent iの全体像を先に確認したい場合は
▶LINE AI Agent iとは?使い方・非表示まで総まとめ
をご覧ください。


[著者情報]

この記事を書いた専門家

鈴木 誠 (すずき まこと)

認定情報セキュリティマネージャー (CISSP) / 中小企業向けITコンサルタント

従業員100〜500名規模の企業を中心に、50社以上のセキュリティ体制構築を支援。特に、コンシューマー向けITツールの業務利用(シャドーIT)に関するリスク管理と、現場の利便性を損なわない現実的なポリシー策定を専門とする。

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なぜ今、LINEのAIが情シスの「新たな頭痛の種」なのか?

「社員にどこまで厳しく制限すればいいのでしょうか?」
これは、ITコンサルタントとして活動する中で、私が最もよく受ける質問の一つです。この質問の裏には、「事業部門の利便性を損なわずに、管理者としての責任を果たしたい」という切実な悩みがあります。

今回のLINEのAI機能に関する問題も、まさにこの構図の中にあります。単なる便利な新機能の話だと捉えてはいけません。従業員が個人情報・顧客情報・社外秘情報を入力してしまえば、会社の情報管理上のリスクにつながります。

LINE AIを使う場面で特に注意したいのは、次のような情報です。より具体的な入力NG例を確認したい場合は、LINE AIの危険性と入力しないほうがいい情報もあわせて確認してください。

  • 顧客情報: 氏名、住所、電話番号、メールアドレス、契約内容、問い合わせ履歴など
  • 社内情報: 売上資料、人事情報、会議メモ、未公開の企画、社外秘の文書など
  • 第三者の情報: 取引先担当者の連絡先、顧客の会話内容、社外から預かった資料など

LINE AI関連の利用条件では、個人に関する情報や秘密情報、第三者の権利を含む情報を許諾なく入力する行為が禁止事項として示されています。つまり、情シス担当者が社内ルールで「業務上の個人情報・秘密情報を入力しない」と明記することは、過剰反応ではなく、規約面から見ても合理的な対応です。

ここで、過去の経緯も簡潔に振り返っておきましょう。

  • 2021年3月: 旧LINEのユーザーデータが中国の関連会社からアクセス可能な状態だったことが発覚し、個人情報保護委員会から行政指導を受けました。
  • 2023年11月: LINEヤフー社は、第三者による不正アクセスを受け、ユーザー情報・取引先情報・従業者等に関する情報漏洩が判明したと公表しました。
  • 2024年3月以降: LINEヤフー社は、不正アクセスによる情報漏洩の件に関し、総務省から指導、個人情報保護委員会から勧告および報告等の求めを受けたと公表しています。

これらの事案は、多くの利用者と企業担当者に衝撃を与えました。そして、今回のAI機能で懸念されているのは、「従業員が業務上の機密情報や顧客情報を入力してしまった場合、そのデータは一体どこで、どのように扱われるのか?」という点です。過去のインシデントを踏まえれば、情報システム部門が慎重な運用ルールを求めるのは自然な判断と言えるでしょう。

問題の本質は技術だけではない。監督官庁も指摘する「ガバナンス」という根本リスク

では、この問題にどう向き合うべきか。ここで重要なのは、個別の技術設定の話に終始するのではなく、問題の根本原因を理解することです。

結論から言えば、LINE AIの個人情報漏洩リスクを考えるうえでは、AI機能そのものだけでなく、LINEヤフー社の企業統治(ガバナンス)や委託先管理の問題も見落とせません。

これは私の私見ではありません。日本の個人情報保護を監督する国の機関である個人情報保護委員会は、LINEヤフー社に対する2024年3月28日の勧告・指導資料の中で、安全管理措置や委託先管理の問題を指摘しています。

個人情報保護委員会は、2024年3月28日、LINEヤフー株式会社に対し、個人データ等の漏えい事案について、個人情報保護法に基づく勧告および指導等を行ったと公表しています。

出典: LINEヤフー株式会社に対する個人情報の保護に関する法律に基づく行政上の対応について – 個人情報保護委員会, 2024年3月28日

つまり、国の機関が、個人データ等の取扱いに関して安全管理措置や委託先管理の改善を求めたわけです。

この事実は、あなたが社内で厳格なルールを設けるうえで、客観的な根拠になります。これは単なる一企業のセキュリティ問題ではなく、監督官庁が行政上の対応を行った情報管理上の問題なのです。

LINEヤフー社のガバナンスリスクを示す図解。親会社であるNAVER社から強い依存関係がある一方、個人情報保護委員会からは行政指導を受けている関係性が示されている

明日から使える具体的対策|技術的設定と組織的ポリシーの二段構えで情報を守る

問題の構造を理解したところで、いよいよ具体的な対策に移りましょう。情報システム管理者として取るべきアプローチは、技術と組織の両面からの「二段構え」です。

① 個人でできる技術的対策:全従業員への「オプトアウト」設定の案内

まず、従業員一人ひとりが実行できる自己防衛策として、情報利用に関する設定の確認があります。これは、従業員向けの初期対応として案内しやすい対策です。ただし、画面名や設定場所はアプリのバージョンや配信状況によって変わる可能性があります。

【情報利用に関する設定確認の例】

  1. LINEアプリの「ホーム」画面右上の歯車マーク(設定)をタップ
  2. 「プライバシー管理」または「LINE AIサービス」など、AI・情報利用に関する項目を確認
  3. 「情報の提供」「情報利用に関する同意」「コミュニケーション関連情報」などに近い項目を確認
  4. 同意状況や設定内容を読み、必要に応じてオフまたは同意しない設定を選ぶ

この手順を画像付きでマニュアル化し、全従業員に通知することが第一歩です。画面名で迷う従業員が出そうな場合は、LINE AIの情報利用同意を見直す手順を案内しておくと、問い合わせ対応を減らしやすくなります。

② 組織でやるべき組織的対策:実効性のある社内ポリシーの策定

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 「注意喚起メール」だけで終わらせず、必ず「禁止事項」を明記した公式なルールとして展開してください。

なぜなら、この点は多くの企業が見落としがちな典型的な失敗だからです。「各自で注意するように」といった曖昧な通達は、残念ながら数日で忘れ去られ、形骸化します。管理者としての責任を果たすには、従業員が判断に迷わない、明確な「ガードレール」を示すことが不可欠です。

技術的なオプトアウト設定だけでは、情報漏洩のリスクを完全にゼロにすることはできません。なぜなら、従業員が機密情報をAI機能に入力してしまえば、設定の有無に関係なく、業務上の情報が外部サービスに送信される可能性があるからです。

そこで最も重要になるのが、組織としての明確なポリシーです。LINE AIに限らず、生成AIサービスの注意点とデメリットを社内向けに整理したい場合は、LINE AIの注意点とデメリットも参考になります。以下に、そのまま使える社内通達のテンプレートを用意しました。



📄 ダウンロード用:社内通達テンプレート(Word形式)

件名: 【重要・要対応】コンシューマー向けAIサービス(LINE AI等)の業務利用に関する基本ポリシー

各位

情報システム部から、セキュリティ強化に関する重要なお知らせです。

1. 背景と目的
近年、LINEのAIアシスタント機能をはじめとする、コンシューマー向け生成AIサービスが普及しています。これらのサービスは利便性が高い一方、業務で利用した場合、当社の機密情報やお客様の個人情報が意図せず外部に漏洩する重大なリスクを伴います。
当社は、これらのリスクから情報資産を保護するため、以下の通り基本ポリシーを定めます。

2. 基本ポリシー(禁止事項)
いかなる業務上の機密情報、個人情報、顧客情報、その他社外秘情報も、コンシューマー向けAIサービス(LINE AI、ChatGPT無料版など、会社が正式に許可したものを除く)に入力することを全面的に禁止します。

3. 全従業員へのお願い(必須対応)
私用スマートフォンでLINEを利用している方は、以下の手順でAI関連の情報利用設定を確認してください。
(ここに、前述の情報利用設定の確認手順を図解付きで記載)

4. なぜこのポリシーが必要か
LINEヤフー社は、不正アクセスによる情報漏洩の件に関し、総務省から指導を、個人情報保護委員会から勧告および報告等の求めを受けています。これは、会社として従業員と情報資産を守るために、自主的な防衛策を講じる必要があることを意味します。

本件に関するご理解とご協力をお願いいたします。

以上

情報システム部

まとめ:今すぐ行動し、管理者としての責任を果たす

この記事では、LINEのAI機能がもたらす個人情報漏洩リスクについて、その本質と具体的な対策を解説してきました。

要点を振り返りましょう。

  • リスクの本質: AI機能そのものだけでなく、過去の情報漏洩事案や委託先管理を含むガバナンスの問題として捉える必要がある。
  • 具体的な対策: 個人でできる「情報利用設定の確認」と、組織で定める「機密情報入力禁止ポリシー」の二段構えが不可欠である。

情報管理者としてのあなたの迅速な判断が、会社の未来を守ります。漠然とした不安を抱え続けるのは、今日で終わりにしましょう。

今すぐ社内通達テンプレートを基に、あなたの会社に合わせた形でカスタマイズして、従業員への周知を開始しましょう。

その一歩が、会社の情報資産を守り、あなた自身に「やるべきことはやった」という自信と安心感をもたらすはずです。


トラブル解決!LINE AIの個人情報漏洩に関するよくある質問 (FAQ)

これまで多数の企業向けITトラブルを解決してきた経験に基づき、LINE AIの業務利用でつまずきやすいポイントをQ&A形式でまとめました。

Q
LINE AIに個人情報を入力すると必ず漏洩しますか?
A

必ず漏洩すると断定はできませんが、業務上の個人情報は入力しないルールにすべきです。

LINE AI関連の利用条件では、個人に関する情報や秘密情報の入力に注意が必要です。企業では「漏洩したら困る情報は入力しない」という明確な基準を設けることが現実的です。

Q
オプトアウト設定をすれば会社利用でも安全ですか?
A

いいえ、設定確認だけで十分とは言えません。

情報利用の設定を見直しても、従業員が機密情報や顧客情報を入力すればリスクは残ります。情シス担当者は、技術設定に加えて、入力禁止情報を明記した社内ルールを作る必要があります。

Q
社内通達では何を禁止すればよいですか?
A

顧客情報、個人情報、社外秘情報、未公開資料の入力を明確に禁止しましょう。

「注意してください」だけでは現場判断にばらつきが出ます。氏名、住所、契約内容、社内会議メモ、売上資料など、入力してはいけない情報を具体例で示すと、従業員が迷いにくくなります。

Q
ChatGPTなど他の生成AIにも同じルールが必要ですか?
A

はい、基本的な考え方は同じです。

会社が正式に許可し、安全性や契約条件を確認したAIサービス以外には、機密情報を入力しない方針が無難です。LINE AIへの対応をきっかけに、生成AI全体の利用ガイドラインへ広げると管理しやすくなります。

[監修について]

本記事は、個人情報保護委員会、総務省、LINEヤフー公式発表、LINE関連規約の公開情報をもとに編集部で確認しています。なお、個別企業の法的判断や就業規則への反映については、必要に応じて弁護士・社労士・情報セキュリティ専門家へ相談してください。

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