「上司から『LINEでAI活用できないか調べて』と急に指示されたものの、情報が多すぎて何から手をつければいいか分からない…」。そんな悩みを抱えるECマーケティング担当者のあなたへ。
この記事の結論からお伝えします。2026年5月時点で、EC担当者がまず確認すべきなのは、広告制作を効率化する「AI拡張」と、顧客対応を補助する「AIチャットボット(β)」の2つです。
ただし、この2つは利用場所も条件も異なります。AI拡張はLINE Creative Labなど広告クリエイティブ制作の領域で使う機能、AIチャットボット(β)はLINE公式アカウントの接客領域で使う機能です。個人のLINEアプリに表示されるAgent iとは目的が違うため、混同しないように整理しておきましょう。
数ある選択肢の中から、なぜこの2つに絞るべきなのか。この記事を読めば、それぞれの具体的な導入手順から、上司を納得させる企画書にまとめる際のポイントまでが分かり、自信を持って「次の一手」を提案できるようになります。
この記事の執筆者:佐藤 健一
株式会社Growth AI 代表取締役 / LINEマーケティング専門コンサルタント。中小EC事業者のLINE活用支援を専門とし、多くのクライアントで売上向上を実現。LINEマーケティングやEC運用の支援を通じて、多くのEC担当者様から、この記事のテーマである「何から手をつければ…」という切実なご相談を受けてきました。
なぜ今、LINEのAI活用で「迷子」になるEC担当者が多いのか?
「LINEのAIって、結局何から手をつければいいんですか?」
これは、私がコンサルティングの現場で頻繁に受ける質問の一つです。その背景には、皆さんが直面している共通の課題があります。いざ「LINE AI」で検索してみると、個人のチャットで使える機能から、専門の開発者でなければ扱いにくいAPI関連の情報まで、さまざまな情報が出てきます。
これでは混乱してしまうのも無理はありません。情報収集能力が低いからではなく、「個人向けのLINE AI」と「法人・広告運用向けのAI機能」が同じ言葉で語られやすいことが原因です。
たとえば、個人のLINEアプリに表示されるAgent iの確認方法は、法人向けの広告機能やLINE公式アカウントのAIチャットボット(β)とは別物です。違いを整理したい場合は、LINEのAIが反応しない原因を切り分ける手順も参考になります。
大切なのは、この情報の洪水の中から、あなたのビジネス、特にEC事業の成果に直結するものだけを冷静に見極めること。そして、最初の一歩としては、外部の高価なツールに手を出す前に、LINEヤフーが提供している標準機能・公式機能から確認するのが現実的です。
【結論】EC担当者が今すぐ試すべきは、この2つのAI機能
回り道は不要です。EC事業のマーケティング担当者であるあなたが最初に確認すべきなのは、以下の2つのAI機能です。
- 広告成果の向上 →
LINE Creative Labなどで使えるAI拡張機能 - 顧客対応の効率化 →
LINE公式アカウントのAIチャットボット(β)機能
この2つは、ECビジネスが抱える「集客」と「接客」という2大課題に対して、それぞれが直接的な解決策になります。ただし、費用条件には注意が必要です。AI拡張は利用回数や対象フォーマットに条件があり、AIチャットボット(β)はチャットProオプションなど有料条件が関係する場合があります。導入前に、必ず管理画面と公式情報で最新条件を確認してください。

なお、個人のLINEアプリで使うAI機能の活用例を知りたい場合は、この記事とは目的が異なります。個人利用の全体像は、LINE AIの個人向け活用法で確認してください。
次のセクションから、この2つの機能について、具体的な導入方法と活用術を詳しく見ていきましょう。
Part 1: 広告クリエイティブ制作を効率化する「AI拡張」とは
LINE広告を運用していると、多様な広告枠に合わせて複数サイズの画像(バナー)を用意する作業に、多くの時間がかかっているのではないでしょうか。この「クリエイティブ制作」のプロセスを改善するのが、LINE Creative Labなどで使えるAI拡張機能です。
これは、あなたが用意した1枚の画像をもとに、AIが画像の空白部分や背景を自然に補完し、異なるアスペクト比の画像を生成・提案してくれる機能です。LINE広告、LINE公式アカウントの友だち追加広告、Yahoo!広告 ディスプレイ広告など、対象サービスや対象フォーマットに条件があります。
導入手順はシンプルです。実際の画面名や表示位置はアップデートで変わる可能性があるため、2026年5月時点の目安として確認してください。
- LINE Creative Labまたは対象広告のクリエイティブ作成画面を開きます。
- 元になる画像を選択し、「拡張」または「AI拡張」に近いメニューを選びます。
- 生成したい画像のサイズ(アスペクト比)を指定します。
- AIが提案した画像を確認し、ブランドイメージや広告審査に問題がないかチェックします。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: AIが生成した画像は、必ず人間の目でブランドイメージに合っているか最終チェックしてください。
なぜなら、AIは背景や余白を自然に補完できる一方で、商品の質感、ロゴ周辺、人物の手元、文字入り画像などで違和感が出る場合があるからです。生成物をそのまま使うのではなく、広告審査・ブランドトーン・商品情報の正確性を確認するひと手間が、広告効果を安定させる鍵になります。
この機能を活用すると、これまでデザイナーに依頼したり、ご自身で時間をかけて行っていたサイズ展開作業を効率化しやすくなります。ただし、以下の表はあくまで小規模EC運用を想定した目安です。実際の工数は、商品点数、確認フロー、修正回数によって変わります。
📊 比較表
表タイトル: AI拡張機能 導入前後のクリエイティブ制作プロセス比較
| 比較項目 | 従来の制作プロセス | AI拡張を使ったプロセス |
|---|---|---|
| 必要な時間 | 複数サイズごとに個別調整が必要 | 元画像から複数サイズを効率的に作成 |
| 必要なスキル | 画像編集ソフトの操作知識 | 管理画面上の操作が中心 |
| 制作可能数 | 時間と予算の制約あり | 利用回数の範囲内で展開しやすい |
| 注意点 | 制作待ちが発生しやすい | 生成結果の目視確認が必要 |
Part 2: 定型質問の対応を効率化する「AIチャットボット(β)」実践ガイド
次に、顧客満足度の向上と業務効率化を同時に狙えるのが、LINE公式アカウントのAIチャットボット(β)機能です。これは、顧客対応自動化という目的を、管理画面上のQ&A設定から進めるための手段です。
この機能を有効にすると、ユーザーからLINE公式アカウントに送られてきたメッセージに対し、登録済みのQ&AリストをもとにAIが適した回答を選び、自動で返信します。ECサイトで頻出の「送料はいくらですか?」「営業時間は?」「返品ポリシーを教えてください」といった定型的な質問は、この機能と相性がよい領域です。
ただし、2026年5月時点では、AIチャットボット(β)はLINE公式アカウントのチャットProオプションなど有料条件が関係する場合があります。無料で必ず使える機能と考えず、対象アカウントの契約状況を先に確認してください。AI機能の入力内容や個人情報の扱いが不安な場合は、導入前にLINE AI利用時の注意点も確認しておくと安心です。
設定は、LINE公式アカウントの管理画面(LINE Official Account Manager)から行います。画面名は変更される可能性がありますが、基本的な確認順は次の通りです。
- LINE Official Account Managerで対象アカウントを開きます。
- 「応答設定」や「自動応答」関連のメニューを確認します。
- AIチャットボット(β)の利用条件、チャットProオプションの契約状況を確認します。
- AIに参照させるQ&Aを作成・編集します。
- 公開前にテストし、想定外の質問への返答を確認します。
これで、基本的な自動応答の準備ができます。特にECでは、配送、返品、決済、営業時間、在庫確認のように質問が繰り返される領域から始めると、効果を検証しやすくなります。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: AIで対応できない複雑な質問は、必ずスムーズに有人対応へ切り替える導線を設計してください。
なぜなら、AIは万能ではなく、クレーム、個別注文、配送事故、返金判断のような質問には慎重な対応が必要だからです。ここで「AIがたらい回しにしている」とユーザーに感じさせてしまうと、顧客体験は低下します。「オペレーターにお繋ぎします」といった案内文や、営業時間内の有人対応ルールをあらかじめ設計し、AIと人間のハイブリッド体制を築くことが成功の秘訣です。
このロードマップで、あなたの上司への提案はこう変わる
ここまで読み進めていただいたことで、あなたはもう「LINE AIについて、何から調べればいいか分からない」という状態にはいないはずです。最後に、この知識を武器に、上司やチームを説得するための企画提案書の骨子をまとめましょう。
このロードマップを使えば、あなたの提案は以下のように、具体的で説得力のあるものに変わります。
【企画提案書(サンプル構成)】
- 現状の課題:
- 広告面: クリエイティブ制作に月間XX時間かかっており、多様な広告枠への出稿機会を逃している。
- 顧客対応面: 営業時間外の問い合わせに対応できず、日中のスタッフが定型的な質問への返信に時間を取られている。
- 解決策の提案:
- LINEヤフーが提供するAI関連機能を活用し、上記課題を低リスクで検証します。
- 広告面: 「AI拡張」機能でクリエイティブ制作のサイズ展開を効率化。
- 顧客対応面: 「AIチャットボット(β)」で定型質問への自動応答を検証。
- LINEヤフーが提供するAI関連機能を活用し、上記課題を低リスクで検証します。
- 期待される効果:
- 広告制作工数を削減し、より多くの広告枠・訴求パターンを試せるようにする。
- 問い合わせ対応のうち定型質問を自動化し、スタッフは個別提案やクレーム対応など、より重要度の高い業務に集中できる。
- 導入計画:
- AI拡張は対象サービス・利用回数・規約を確認したうえで、小規模な広告素材からテストする。
- AIチャットボット(β)はチャットProオプションなどの契約条件を確認し、まずはFAQ件数を絞って1ヶ月間テスト運用する。
この構成で伝えることで、漠然とした「AIをやりたい」という話ではなく、「広告制作と顧客対応のどちらに効くのか」「どの条件で試せるのか」「何を測定するのか」が明確になります。
LINE AI拡張機能に関するよくある質問 (FAQ)
EC担当者がLINEのAI機能を検討する際につまずきやすいポイントを、Q&A形式でまとめました。
LINE AI拡張機能は無料で使えますか?
AI拡張は利用条件や回数制限を確認してから使うのが安全です。
LINE Creative Labなどで使えるAI拡張は、対象サービスや対象フォーマット、利用回数に条件があります。広告費や配信費とは別に、利用規約や管理画面上の表示を確認してからテストしましょう。
AIチャットボット(β)は誰でもすぐ使えますか?
対象アカウントの契約状況によって使えるかどうかが変わる可能性があります。
2026年5月時点では、AIチャットボット(β)はチャットProオプションなどの有料条件が関係する場合があります。LINE Official Account Managerで、対象アカウントの応答設定と契約状況を確認してください。
AI拡張で作った広告画像はそのまま使って大丈夫ですか?
そのまま使う前に、人の目で最終確認してください。
AIが背景や余白を自然に補完しても、商品形状、ロゴ、人物、文字の見え方に違和感が出る可能性があります。広告審査、ブランドイメージ、誤認につながる表現がないかを確認してから入稿しましょう。
個人向けのAgent iと法人向けのAIチャットボットは同じですか?
同じ「LINE AI」関連でも、目的と設定場所が違います。
Agent iは主に利用者側のLINEアプリ上で表示・操作する機能です。一方、AIチャットボット(β)はLINE公式アカウントの管理画面で設定する店舗・企業向けの自動応答機能です。問い合わせ対応では、この2つを分けて説明すると混乱を防ぎやすくなります。
まとめ:最初の一歩を踏み出そう
この記事では、EC担当者であるあなたがLINEのAI活用で成果を出すために、まず確認すべき2つの機能「AI拡張」と「AIチャットボット(β)」に絞って、実践的なロードマップを解説しました。
- 情報が多すぎて迷子になる必要はない。
- 「広告」と「顧客対応」の課題を分けて考えるのが最初の一歩。
- 利用条件・費用・回数制限を確認したうえで、小さくテストするのが安全。
また、個人のLINEアプリに表示されるAgent iが出ない、消えた、反応しないといった相談は、法人向けのAIチャットボット(β)とは確認場所が違います。顧客から「AIボタンが出ない」と問い合わせがあった場合は、Agent iの表示確認手順を案内すると、店舗側の設定と利用者側の問題を切り分けやすくなります。
情報収集はもう十分です。大切なのは、まず一歩を踏み出してみること。
まずは今日、LINE Creative Labや広告管理画面を開いて、テスト用の商品画像を1枚だけ「AI拡張」にかけてみませんか? その小さな一歩が、あなたのビジネス、そしてあなた自身の提案力を大きく変えるきっかけになるかもしれません。



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